辻音楽師な日々

現代の竪琴「ライア」を弾いています。              BBS http://rara.jp/leier

秋の日に

昨日は、父の一周忌でお寺に行ってきました。
通夜葬式から、法事もすべて寺でお願いして
墓もココにあるわけで、もう、度々足を運んで
いるのですが、やはり季節感というのかなぁ。


盆に来た時なんかは、なんとなく、蓮が植えてある
池の蛙の写真取ってみたりとか、半分ピクニック
気分だったのだけれど、今日みたいに秋晴れの空とか
ほどよく冷たい風とか色づき始めた木の葉とか感じて
ああ、父さん死んだ時、こういう空気だったよな・・・
とかなんか、ふと思い出したりして。


父の墓は、寺の裏山をちょっと上がったところの
平らになっているこじんまりとしたところにあります。
北と東は山で、西側には道路を挟んで小学校があり、
平日だと時々子供の声が聞こえるぐらいの落ち着いた
静かなところです。


ところで、今日は、土曜日で学校は誰もいないし、
近くに住宅も無いから少々音を出しても、文句を
ゆってくる人は誰もないはず・・・


となると、やることは一つ。


ええ、吹きましたとも。
朗々と、オーボエ出して。
父ちゃんの墓石の前で。


響きが山にこだまして、きれいに並んだ御影石にも音が跳ね返って居るようで。


うーん、いいねぇ。
病院の中じゃ、さすがに吹けなかったもんね。


オーボエ始めた時はね、正直つらかったよ。
こんなしんどい楽器だなんて、知らなかったし。
ある日、突然父ちゃんが楽器買って来てさ、言ったんだよ。
「おまえ、これ吹いてみろ」

音楽はもちろん嫌いじゃないですけれどね。
かなり、きつかったですよ。
めまいはするし、息は上がるし心臓は痛くなるし。

今だったら、わかりますけれどね、そのころどんなに無理な奏法を
無理矢理やってたかって。わかんなかったです、そのころは。
でも、わかんなくても、なんか毎日吹いてるうちにだんだん体の一部に
なってったんでしょうね。


なんだかんだと色々ありながらも、未だに懲りずに私はオーボエ吹いてます。
眠ることもありますけれど、不思議なことに眠ると必ず目が覚めて、
「あ、まだ生きてるや」とか思うんですよ。


あれから、どのくらい経ったでしょうか。
どうです、今日の音は。
綺麗ですか?心に染みますか?
あの頃より、少しはマシになりましたか?


本当のところ、父さんがどんな音色を聞きたがっていたのか、
今となってはよくわかりません。
でも、私の音は、今も昔もこんな色です。


とりあえず、聞いて下さいな。


極楽は、ええとこですか?
琵琶や笛が鳴ってますか?
それとも天使のオルガンですか?


ああ、そうですね、きっとあなたはあちらでも、
オーケストラ作って、曲書いてますね。
そちらで良いのができたら、時々教えて下さい。
ネタに困った時に、使わせて下さいな。


そのぐらい、良いでしょう?


結構、頑張ったんだから。
一度ぐらい、ご褒美もらっても、良いでしょ?


ね、父さん。