眠り姫
一夜明けて、帰宅する前に、友人のライアーを見せて貰う。
10年前に買ったというイギリスのメーカーの7弦なんだけれど
買った時に調弦器もついてなくて、どんな音階になるかもわからず
そのまま静かに眠らせていたそうで。
現物を手に取ってみると良い具合に木が落ち着いていて、
弦も、手あかなどで所々生じる赤さびではなく、
全体が黒っぽくなる感じのさびがある他は金属部分も特に損傷無く。
特に湿度管理とかもしてなかったそうなんですが、たまたま置いて
あった部屋が比較的乾燥して温度変化も少ないところだったそうで
良い状態で保管出来てたんだと思います。
いろんな放置ライアを見てきましたが、こーゆ例は珍しいなぁ。
錆は、いつもは砂消しゴムで落とすのだけれど、弦がしっかりしているので
思い切って超等細かい耐水ペーパーで弦全体をかけてみる。
と、本来の金属が持っている輝きが浮き出て鈍く光り出す。
一本一本丁寧に撫であげ、仕上げに弦オイルをごく薄く塗りんでやると、
つるりんと、アカンボの肌みたいな柔らかい感じに仕上がってちょっと気分が良い。
レミ-ソラシ-レミ、のペンタトニックで調弦し、
抱っこしてそっと弦に触れるとなんとも軽やかな声で歌い出しました。
うーん、感動。
今まで、いろんなライア見て来たけれど、これほど芯のある楽器に出会ったこともあまり無いです。まだ寝ぼけた音してますけれど、引き込むほどに、響きが深くなっていきそうな感じ。
ところで、楽器ってあんまり放置しすぎると、草木も眠る丑三つ時、満月の光を浴びて、手足がにょきにょき生えてきて、浮かれ踊りながら、新しい弾き手を求めてふらふらと放浪し始めるらしいですよぉ・・・
てなわけで、コレを読んでいる心当たりのある方
しっかり可愛がってやって下さいね〜。
かまってあげられない時は、いつでも引き取りますんで(笑