辻音楽師な日々

現代の竪琴「ライア」を弾いています。              BBS http://rara.jp/leier

待つ

昨日見送った彼女のライアって、ずっと「待ち続けてた」楽器なんですよ。


とあるライア奏者が工房に楽器を注文した時に、手違いで一台余分に
届いてしまったのだけれど、いずれ必要な事が有るかも知れないからと
手元に置いていたのだそうです。


しばらくケースの中で眠っていたその楽器は、もう、弦の表面に
うっすら錆が出かけていたのだけれど、それを丁寧に落として
綺麗に綺麗にしてもらって彼女の元にやってきた。


実際に彼女が弾いたのは実質、三ヶ月ぐらいだったと思うけれど、
自分が弾けなくなってからは娘さんが弾いて聞かせていたのだと。
様々な人の凝縮した想いを包み込んだそのライア。


持ち主が居なくなったライアのケースは、またしばらく閉じられてしまうの
だろうけれど、少し落ち着いて必要な時が来るまで、また静かに、あの楽器は
待って居るんだろうな。


うん。